とんでも☆ナイト 後 「ガイっ…ガイ!しっかりしろよ……っ!!」 「ルーク…?」 鼓膜を震わす甲高い声に、肩を揺するか細い手の感触にルークが俺を呼んでいることを知り、瞼を上げた。 「ガイ…っ、良かった」 「る、ルーク!俺なら大丈夫だから!!」 目に飛び込んで来たのは涙に濡れたルークの顔だった。 不安と安堵の間にある揺れる瞳にしまった、と思い慌てて状態を起こす。 どうやら、俺が気を失っている間に回復してくれたらしく身体に痛みはなかった。 「ほんとか?ほんとに、痛いところとかないか?」 「大丈夫だって…」 見ただけで傷が無いこと、無理のない動作にもうどこにも異常がないことが分かるのに心配し、手で触れて確認するルークの態に愛おしさが込み上げてくる。 「心配してくれて、ありがとな」 「あ……ううん。第一、ガイを気絶させたの…俺だし…。本当に――!んっ…」 自然とその手を取り、華奢な肢体を己の胸に引き寄せる。 触れ合う身体に顔を赤らめながら、尚も非を詫びようとするルークの唇を己のそれで塞ぎ、言葉を奪う。 謝罪はもういらない。お前はもう、謝らなくていいんだ。 俺が欲しいのは謝罪の言葉なんかじゃない。 「ガ、イ………大好き…」 口内を深く犯し、離れれば紅潮した頬に艶やかな表情を乗せた顔がありそして、望んだ言葉が紡がれた。たまらない。もう、当底我慢出来そうにない。 「……っ!!」 「わっ!!が、ガイ!」 お前はいつも俺の欲しいものをくれるんだな。 横に在るルークを身体を掬い上げ、横たわっていた床から立ち上がると、そのままルークを俺は自分の身体を以って組み敷く。 「ルーク…いいか…?」 「…うん」 主語を欠いた問い掛けに、それでも状況で言葉の意味をルークは悟ったようで。 愛らしく頷いてくれた。 その顔は羞恥から真っ赤に染まっていたが、恐れは伺えず、ルークも俺を欲していることを知り嬉しくなった。 「おれ…ん、ほん、とは……今日、こわかった、んだ…」 晒したルークの肌に唇をおとし愛していると、まだ余裕のある彼女の口から真意が紡がれた。俺は愛撫の手を止めルークの顔を覗き込む。 「ルーク…」 「ガイのことすごく、すごく好きだけど…………やっぱり、まだ怖くて…」 寄せられた眉にルークの恐れを知って、俺は後悔した。 そういえば、陛下とジェイドが押し掛けてくる前、俺は今日という日に舞い上がり事を急いでいたかもしれない。 「ルーク…ごめんな、怖い思いさせて。今日は……やめとくか…?」 ルークがやっと俺のものになって、悦びで先走り、ルークに対する気遣いがなされていなかったことを自覚する。痛々しく話すルークが可哀想で。 今から引き返すことはかなり辛いが、ルークの為なら耐えられる、と俺は行為をやめるかと問い掛けた。 「ち、ちがうんだ…やめないで…くれよ…?」 「でも…お前、怖いんだろ」 「確かにさっきまで怖いと思ってた…。陛下とジェイドが乱入してきたとき、今日はしなくてすむかもって安心してた…」 素直に正直な気持ちを言ってくれることは嬉しいが、あの二人に救われたと思っていたことは、頂けない。 だが、俺の眉間が寄ったことに気付いていないのか、或いは無視しているのか。ルークは構う様子も見せず言葉を続ける。 「でも、気を失ったガイ見てもしかしたらこのまま目覚めなかったら、どうしようと思って……なんか、その…もう離れたくないっていうか、もっと近付き、たい…って…」 「ルーク…」 何言わせんだ馬鹿ガイ。と続けられた悪態さえも愛おしくて、想いに応えたくて、想いを伝えたくて俺はルークに再度覆い被さった。 こうして俺はルークと無事に結ばれて、甘い一夜を過ごし夫婦仲も順調だ。 だが、だからといってあの初夜を邪魔した恨みを忘れたわけではない。 新婚旅行明けに、宮殿に参内したさいにあのふざけた二人になんとか痛い目を、と目論んだが、予想通り返り討ちにあい二人を常識人にするという俺の願いは儚く散っていった。
5555hitありがとうございました。 遅くなって申し訳ないです。私が至らないばかりにこのファイルは何回も消し飛びました。 それゆえ掛った苦労も大きく、今日アップ出来て嬉しいです。 ちなみに『初夜見届け』という制度は中世ヨーロッパの某王室では本当にありました。 ありえないとお思いと思いますが、純粋培養の王子、王女達は夫婦の営みの仕方が分からず本当に手解きが必要だった場合もあったので必要?だったみたいです。 更には王妃・女王の出産を筆頭貴族一同で見学するとかいうありえない風習もあったそうです。 もう、一部始終をですよ。 賢明な某女王が廃止して、それはなくなったそうですが…。 いらない無駄知識を申し訳ありません。 2008.3.30 ブラウザバックでお戻りください |