体の奥が蕩けそう



草木が夜露に濡れる頃。

ガイとルークもお互いの身を寄せ合い全身を汗で濡らしていた。

所謂、濡れ場というやつだ。カーテン越しに淡い光が漏れ出て、寄り添う影を浮かび上げていた。

柔らかい寝床がある日は強行の旅の中、そうあるものではないので体を休めた方がいいことは分かっている。

だが、命を賭けた戦いの日々のせいで生存本能が高まるのか。

求めずには居られなかった。

せっかく今日は各自一人部屋をとることが出来たというのに、全て水の泡。

そう遅くもない時間にガイはルークの部屋を訪ねるとシャワーを浴び、早々にベッドに彼女を押し倒した。

そうして、今に至る訳だ。





既に何度も混じり合い、シーツは色んな液体を吸い湿ったものになっていたが、それは愛し合った証。

故にガイは全く気にならなかった。

今はルークが足を投げ出したガイの上に座り、重たげに腰を動かしてお互いの快感を高めている。

きしり、きしりと鳴るベッド、接合部からの生々しい水音、ルークの甘い喘ぎが耳に心地良い。

奥まった部分までの繋がりは、このまま蕩けてしまうのではないかと思うくらい気持ち良かった。

これで自分の獣染みた男の速く荒い呼吸音がなければ最高なのにと思い、笑いが零れる。

場違いにも零れた笑い声に、快楽に喉を仰け反らせ善がっていたルークの視線がガイの顔に向けられた。

「…なん、だよ……」

息切れぎれの言葉はガイを十分にそそった。

「いや…さ…」

止まった緩慢な律動にガイのモノが根元までルークのナカに納まる。

其処は男根を常に柔らかく締め付け腰を動かさずとも、男に絶大な快感を与えた。

「今晩は、随分積極的に動いてくれるなぁ…、って思ってね…」

「なっ……!」

感じる悦楽に眉を顰め笑いの由縁を教えてやれば、瞬時にルークの紅潮が増す。

一瞬にしてより濃い薔薇色に染まった肌に見惚れれば、視界の端に振り上げられる拳が映った。

「そ…、れはっ!お前が動かないからだろう…っ!!」

この体位になってから全然動いてくれない、とルークは震える指先を向けながら訴えてきた。



投げ掛けられた言葉に思わずガイは目を見開く。



酸欠のせいで頭に酸素が回ってないのか。はたまた快楽に思考が蕩けているのか。

情事の際のルークはとんでもない台詞を口にすることが多々ある。

ルークは気付いていないが、それはガイを激しく煽るものばかりであった。

しかも、今の言葉は極め付きだ。暗に「もっと激しく突き上げて欲しい」といっているのに何ら変わりない。

悦びに顔の造形が崩れそうだと思いながら、ガイは崩れた口角を上げるだらしなく意地の悪い笑顔を作り上げた。

「気持ち悪い……」

可愛くない台詞を吐いても、ルークが言えばガイの耳には愛らしいものとしてしか響かない。

「俺はルークを抱いてるけど……。今日は何だかルークが俺を抱いてるみたいだな」

ルークの悪態も物ともせず、気障で卑猥な台詞を吐いてみせる。

「な…に…っ、言って…!!」

「でも…。俺はルークを抱くのが生きがいだから…」

嫌な予感に混乱して慌てるルークを楽しみながら、尚も常人には羞恥の言葉を吐く。

そうして、己の腹に乗り上げる華奢な腰に手をやると、ガイは一瞬でルークと自分の位置を入れ替えた。

手に馴染む柔らかい曲線と肌が気持ちいい。晒される性器の結合部は只ただ愛しく欲情を高めるもの。

「主導権…返してもらうな?」

「えっ…ちょ、まって!ああっ…!!あぅ…あっ!」

神も見惚れるような綺麗な笑顔を見せた直後。

ガイは納めていた楔を一気に引き抜き、膣の奥底まで叩き付けるような律動を開始した。

ルークは押し寄せる大波の様なガイの想いに、翻弄され続けるのみだった。















結局この日。ルークが解放されたのはいつも通り、明け方近くになってからのことであった。

翌日の旅の中では、いつも通り。 気分の優れないルークに罵倒されながら彼女の世話を焼くガイの姿が見られた。













日常の営み(笑)
というか、ただやってるだけの文章;しかも短!!
ガイがねちっこくてすいません(汗;)お題に沿えてませんね…精進します…。


2008.8.8